仮想通貨で聞く「ファイナリティ」をビットコイン・ブロックチェーン技術を用いて紹介

2018.09.06 (木) 17:00
仮想通貨で聞く「ファイナリティ」をビットコイン・ブロックチェーン技術を用いて紹介

仮想通貨の決済における「ファイナリティ」とは、決済が完了した状態のことです。

仮想通貨に限らず、現金や銀行振込などの決済でも同じですが、その決済が完了した状態になることを「ファイナリティが得られた」と表現します。

この記事では、仮想通貨やビットコインのファイナリティがいつ得られるのか、そしてブロックチェーンのファイナリティなどについて解説していきます。

 

1 そもそもファイナリティとは?

ファイナリティとは英語で「finality」といい、「最終的なこと」「決定的なこと」を指す名詞です。

決済においてファイナリティという言葉を使うときには、決済が滞りなく行われて期待どおりの金額が手に入る決済のことをいいます。

安全に決済をするためには、このファイナリティが大切だといわれています。

お金を別の人に渡す場合の決済方法には、現金手渡しや銀行振込、仮想通貨決済などさまざまな種類が存在します。

その決済が完了した状態のことをファイナリティが得られたと表現します。

 

1.1 さまざまな決済手段のファイナリティの例

さまざまな決済手段のファイナリティの例

いくつか例を紹介します。例えば、買い物客が店舗で商品を買ったとき、その代金を現金で支払った場合は、買い物客から渡される現金が偽札ではない限り、ファイナリティはその場で得られます。

買い物客が代金を商品券で支払った場合は、店舗側は商品券を発行会社に持っていき、換金してもらう必要があります。

もし、商品券の発行会社が倒産してしまうと、もらえるはずだったお金が手に入らなくなります。

商品券を換金して初めて、店舗側はファイナリティを得られたといえます。

また、銀行振込の場合は、資金が銀行間で実際に移動したときに初めてファイナリティが得られます。

 

例えば、AさんからBさんへ銀行振込で1万円を送るとき、Aさんの口座から1万円の残高がマイナスになり、Bさんの口座が1万円プラスになっていたとしても、まだこの決済におけるファイナリティは得られていません。実際にAさんの銀行からBさんの銀行にこの資金が移動したときに、初めてファイナリティが得られます。なぜなら、実際に資金が移動する前に銀行が倒産したり、お金を持ち逃げしたりというリスクがゼロではないためです。

 

1.2 ファイナリティにおいて大切なこと

日本銀行の公式サイトによれば、ファイナリティにおいて大切なことは「受け取ったお金が、あとになって紙くずになったり消えてしまったりしないこと」「行われた決済が絶対に取り消されないこと」のふたつです。これらの条件を満たすような決済が、ファイナリティのある決済といいます。

前者については、前述したとおりです。現金はその場で決済が完了しますが、商品券や手形などは、受け取ったあとに価値が消えてしまう可能性があります。

 

後者の「行われた決済が絶対に取り消されないこと」も重要です。例えば、買い物客からお金を受け取ったあと、第三者から「今の支払いは無効なので、受け取ったお金を返却してください」といわれ、その要求を受け入れざるを得ない場合、店舗はすでに品物を手放しているにもかかわらず代金を取り上げられてしまうことになります。

一度行われた決済が取り消されないことも、ファイナリティの大切な条件です。

 

2 ビットコインにおけるファイナリティ

ビットコインにおけるファイナリティ

現金や商品券、銀行振込の例を紹介してきましたが、ビットコインの場合「ファイナリティが得られた」と判断される明確な基準はありません。

ビットコイン決済のファイナリティがどこかは、人によって判断が分かれるところですが、「完全なファイナリティはない」という意見もあります。

一方、ビットコインの改ざんの可能性は時間が経つにつれて限りなくゼロに近づいていくため、数ブロックが生成された時点でおおよそファイナリティが得られたと判断する人もいるようです。

 

AさんがBさんにビットコインを送金した場合を例に説明します。AさんがBさんに送金すると、その記録がブロックチェーンに記録されます。新しいブロックは10分に一度承認され、また新たな次のブロックが生成され、鎖のようにつながっていきます。

 

ブロックチェーンシステムにおいて、過去の記録を変更する場合、そのあとにつながれたブロックも変更する必要があります。つまり、取引に間違いがなく正しければ、どんどんとブロックが長くつながっていくため、変更が困難になり、取引が変更される可能性は少なくなります。

そのため、ブロックが長くなるにつれて情報の保護性能が高まったことで「ファイナリティを得られた」とする場合もあります。

 

人によって意見が分かれるところですが、送金の記録が埋め込まれたブロックのあとに新しいブロックが3~6個追加されたとき、ファイナリティが得られたと考える人が多いようです。もちろん100%ファイナリティが得られたわけではありませんが、3~6個新しいブロックが追加されれば改ざんの可能性はかなり低くなるため、ビットコインを受け取ったBさんも、その時点であれば安心して受け取ったビットコインを利用できるでしょう。

 

3 ブロックチェーン技術におけるファイナリティ

ブロックチェーン技術におけるファイナリティ

3.1 PoWにおけるファイナリティ

ビットコインに限らず、PoW(Proof of Work:プルーフ・オブ・ワーク)の場合、そのファイナリティは「確率的なものである」といわれます。

日本ブロックチェーン協会では「ブロックチェーンは、時間の経過とともにその時点の合意が覆る確率がゼロへ収束するプロトコル」と定義しています。合意が覆る確率は時間が経過すればするほど、ゼロに近くなります。同様に、ファイナリティも時間が経てば経つほど、ほぼ「得られたと定義してよい」と見なせます。

 

ブロックチェーンの設計上、100%のファイナリティは得られませんが、時間が経てば、確率的にほぼファイナリティを得られたと判断してもよいといえます。ただし、どのくらいで安全かというのはユーザーの判断に委ねられます。

 

3.2 プライベートブロックチェーンにおけるファイナリティ

ビットコインやPoWのブロックチェーンは、これまで説明したように、確率的なファイナリティしか得られません。しかし、金融機関が決済システムにブロックチェーンを活用する場合は、このような確率的なファイナリティでは、システムに不安が残ります。そこで、ファイナリティが確定する仕組みを備えたブロックチェーン技術が注目されています。

 

例えば「Hyperledger Fabric v1.0」というプライベートブロックチェーン技術では、PBFT(Practical Byzantine Fault Tolerance:プラクティカル・ビザンチン・フォールト・トレランス)という合意形成アルゴリズムの拡張版を取り入れています。これは、一部のノードが故障したり、不正を働こうとしたりしたときでも、問題なく合意形成できる仕組みです。トランザクションが改ざんされていない結果を受け取ってブロックが生成されるため、ブロックチェーンが分岐せず、ファイナリティを得ることができます。

 

またソラミツの「Hyperledger Iroha」ではPBFTの延長にある「スメラギ」が使用され、確定的なファイナリティが得られます。

非中央集権型の決済システムだからこそ、ファイナリティはユーザーが安心して使う上でとても重要な要素であるといえます。

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